同じ「肩こり」「腰痛」という症状でも、身体の状態は一人ひとり違います。
また、同じ方であっても、前回と今日とでは身体の状態が同じとは限りません。
そのため、茨木ばんば鍼灸治療院では、
「この症状なら、このツボ」
というように、症状名だけで施術内容を決めることはしていません。
症状のある場所はもちろん確認します。
そのうえで、脈やお腹、背中、身体の動き、呼吸など、
身体に現れているさまざまな反応を必要に応じて確認し、
その日の身体に合わせて施術を考えます。
そして、一度決めた施術をそのまま最後まで続けるのではありません。
身体を見る。
必要な働きかけをする。
身体がどう反応するかを見る。
その反応から、次を決める。
これが、当院の鍼灸の基本です。
このページでは、当院の鍼灸について次の順にご案内します。
症状だけではなく、その日の身体を見ます
「肩が痛いから肩に鍼をする」
必要であれば、もちろん症状のある場所にも施術します。
当院は「全身を見るから、痛い場所には鍼をしない」という考えではありません。
ただ、痛みのある場所だけを見て、施術する場所を決めるわけでもありません。
同じ肩の痛みでも、
- いつ痛むのか
- どのように動かすと痛むのか
- 温めると楽なのか
- 疲れたときに悪化するのか
- 身体のほかの場所に変化はないか
などによって、その方の身体の状態は異なります。
病院で診断や検査を受けている場合には、その内容も大切な情報として確認します。
そのうえで、診断名だけから一律に施術を決めるのではなく、
今、目の前にある身体をもう一度確認すること
を大切にしています。
実際に何を見ているのか
必要に応じて、
- 脈
- お腹
- 背中
- 身体の動き
- 呼吸
- 身体の緊張
- 症状の出方
- 患者さん自身が感じていること
などを確認します。
これらを毎回すべて同じ順番で調べるわけではありません。
その日の身体を理解するために、必要なものを確認します。
当院では、日本の伝統鍼灸に受け継がれてきた身体の診方を土台に、
長年の臨床の中で身体の反応を見ながら培ってきた
「和観古法鍼灸」
という考え方で施術しています。
当院では、このように施術を進めます
当院では、最初に使うツボや鍼の本数をすべて決め、
それを順番に行っていくわけではありません。
おおまかには、次のように施術を進めます。
① お話をうかがう
↓
② 身体を確認する
↓
③ 施術の方向を考える
↓
④ 必要な働きかけをする
↓
⑤ もう一度、身体を見る
↓
⑥ その反応から次を決める
1.まず、お話をうかがいます
今困っている症状だけでなく、
「いつ、どのようなときにつらいのか」
「何をすると楽になるのか」
「最近、身体に何か変化はなかったか」
などをうかがいます。
患者さん自身が感じていることも、身体を考えるための大切な情報です。
また、施術について分からないことや気になることがあれば、
遠慮なくお尋ねください。
質問は施術前だけでなく、施術中でも施術後でも構いません。
2.身体を確認します
症状のある場所とともに、
脈、お腹、背中、身体の動き、呼吸など、
その時に必要なものを確認します。
施術姿勢についても一律ではありません。
うつ伏せがつらい方には横向きで、
必要であれば座った状態で施術することもあります。
妊娠中の方なども含め、
その時に無理のない姿勢で受けていただくことを優先します。
3.現時点での施術の方向を考えます
お話と身体から得られた情報をもとに、
今、どこへ、どのように働きかけるのがよいか
を考えます。
知識や理論、これまでの経験も使います。
ただし、その時点で考えたことを最初から絶対の正解とは考えません。
実際に働きかけた後の身体の反応によって、
こちらの判断を変えることもあるからです。
4.必要に応じて説明してから施術します
基本的には、身体をどのように見ているのか、
どのような施術を考えているのかなど、
必要なことをお伝えしながら進めます。
ただし、説明すること自体を目的にはしていません。
たとえば、ぎっくり腰など強い痛みがある場合や、
まず施術を受けたいというお気持ちが強い場合には、
長い説明を先に行わず、
必要な確認をしたうえで施術を優先することもあります。
その場合も、必要な説明は施術中や施術後に行います。
5.必要なところへ働きかけます
身体の状態に応じて、
鍼やお灸、刺さない鍼などから必要な方法を選びます。
そして施術した後、もう一度身体を確認します。
6.身体の反応から、次を決めます
一つ働きかけた後に、
脈、身体の動き、症状、呼吸、緊張、
患者さん自身の感覚など、
その時に必要なものを確認します。
十分な変化がみられれば、それ以上刺激を加えないこともあります。
もう少し必要であれば、次の施術を行います。
想定していた反応が出なければ、
同じことを繰り返すのではなく、
最初の見方や施術方法そのものを考え直します。
一つ働きかけるたびに、もう一度身体を見る
一鍼一診
一つ働きかける。
もう一度、身体を見る。
その反応によって、次の判断を変える。
当院では、この姿勢を「一鍼一診」と呼んでいます。
文字どおり、
一つ鍼をしたら、もう一度身体を診る。
という考え方です。
必ず一本だけで施術するという意味ではありません。
大切なのは、最初に決めた施術を、
身体の反応に関係なく最後まで行わないことです。
一つ働きかけたことで、
- 何が変わったのか
- 何が変わっていないのか
- もう一つ必要なのか
- 違う方法が必要なのか
- もう十分なのか
を確認します。
前回うまくいった施術も、大切な情報です。
しかし、
「前回このツボだったから、今日も同じツボ」
とは限りません。
前回の経験は参考にしながらも、今日の身体をもう一度見ます。
そして、身体から返ってきた反応がこちらの予想と違えば、
こちらの考えを変えます。
理論に身体を合わせるのではなく、
身体の反応によって判断を更新していく。
それが、当院の施術の基本姿勢です。
必要なところに、必要な刺激を、必要なだけ
必要鍼
必要なところに、
必要な刺激を、
必要な回数だけ。
鍼は、多ければ多いほどよいとは考えていません。
強い刺激ほどよいとも考えていません。
反対に、少ない鍼や弱い刺激そのものを目的としているわけでもありません。
大切なのは、
今の身体に、どの程度の働きかけが必要なのか
です。
一つの働きかけで身体が十分に変化していれば、
それ以上刺激を重ねる必要はありません。
もう少し必要であれば追加します。
当院では、
必要なところに、必要な刺激を、必要な回数だけ行う
ことを大切にしています。
私はこれを「必要鍼」と考えています。
基本は、比較的穏やかな刺激です
基本的には、比較的穏やかな刺激から施術します。
ただし、「弱い刺激しか行わない」と決めているわけではありません。
身体の状態や施術する場所によって、必要な刺激量は変わります。
弱いか強いかではなく、
その刺激が今の身体に必要かどうか
を見ています。
身体が自然に反応することを大切にしています
当院では、鍼灸によって身体を外から思いどおりに動かすことを
目的にはしていません。
身体には、本来、自ら状態を変え、回復しようとする働きがあります。
鍼灸は、その働きが十分に発揮されるために
必要なきっかけを与えるものだと、私は考えています。
だからこそ、
必要な働きかけをしたら、身体自身がどう反応するかを見る。
十分であれば、それ以上加えない。
必要であれば、もう一つ加える。
何もしなければよいわけでもなく、刺激を増やせばよいわけでもありません。
身体自身の働きと、外からの働きかけとの間の適切なところを探します。
鍼を置き、身体が反応する時間を待つことも大切にしています
当院では、基本的に置鍼を行います。
置鍼とは、必要な場所に鍼をした後、
すぐに抜かず、そのまま一定時間置いておく方法です。
これは、刺激を加え続けるためではありません。
必要な働きかけをした後に、
身体自身がどのように反応していくのかを待つ時間
だと考えています。
鍼を置いている間は、
基本的には施術者はいったん離れ、
ゆっくり過ごしていただきます。
眠られる方もいれば、
眠る直前のように身体の力が抜けて静かに休まれる方もいます。
当院では、この時間も施術の一部と考えています。
一方で、一人で過ごすより話をしている方が安心できる方には、
そばでお話しすることもあります。
反対に、普段はよくお話しされる方でも、
その日の様子から休息を優先した方がよいと感じた場合には、
そのことをお伝えして、静かに過ごしていただくことがあります。
決められた過ごし方に患者さんを合わせるのではなく、
その日の状態に合わせます。
施術時間は、通常60~80分程度です。
身体の状態や必要な確認によって、多少前後することがあります。
症状だけではなく、身体全体の変化を見て判断します
もちろん、
「痛みが減った」
「首が動かしやすくなった」
「身体が楽になった」
といった症状や感覚の変化は大切です。
施術後には、患者さんと一緒に、施術前との違いを確認します。
ただし、その場で症状が変化したかだけで
施術全体を判断しているわけではありません。
症状とともに、
- 身体の動き
- 呼吸
- 身体の緊張
- 脈
- 患者さん自身が感じる変化
なども見ながら、
身体全体がどのような方向へ変化しているのかを確認します。
「胃の気」も、一つの判断材料です
当院では、身体全体の状態を見る手がかりの一つとして、
伝統鍼灸で「胃の気」と呼ばれてきたものも大切にしています。
ここでいう胃の気は、胃という臓器だけを指す言葉ではありません。
当院では、主に脈などを通して、
身体が本来持っている回復する働きが、
十分に働ける状態へ向かっているか
を見る一つの手がかりとして用いています。
施術後すぐに症状が変化する場合もあります。
一方で、その場では大きく変わらなくても、
少し時間がたってから身体が変化していく場合もあります。
そのため、当院では目の前の症状だけでなく、
身体全体の変化も含めて施術を評価しています。
施術後も、必要なことだけお伝えします
施術が終わったら、患者さんと一緒に身体の変化を確認します。
そのうえで、必要があれば、
- ご自宅でのお灸
- 施術間隔が空く場合などのパイオネックス
- 睡眠
- 休息
- 運動
- 食事
- 日常生活での身体の使い方
などについてお話しすることがあります。
ただし、全員に同じセルフケアをお願いするわけではありません。
必要のないことまで増やしたり、
患者さんが必要としていないことを押しつけたりすることは、
できるだけ避けたいと考えています。
施術と同じように、セルフケアについても、
必要なものを、必要なときに。
という考えです。
当院で使用する鍼・灸について
基本となる鍼
当院で基本的に使用しているのは、
日本の医療機器メーカー・セイリン製の
J-Sakura 寸3・3番です。
長さ40mm、太さ0.20mmの鍼を基本としています。
ただし、すべての場所に同じ鍼を使用するわけではありません。
施術する場所や身体の状態、必要な刺激によって、
鍼の長さや太さなどを使い分けます。
また、刺す深さや本数も一律には決めていません。
本数も、深さも、刺激量も、
その時の身体に必要なものを選びます。
通常使用する鍼は、
個包装された滅菌済みの使い捨て鍼です。
一度使用した鍼を、別の施術で再利用することはありません。
刺さない鍼も使います
鍼灸というと、
「すべて身体に鍼を刺す」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、身体の状態によっては、
皮膚に刺さずに働きかける
鍉鍼(ていしん)や
打鍼(だしん)
などを用いることもあります。
これも、必要に応じて選びます。
鍼の「響き」と、不快な痛みは分けて考えています
鍼をすると、ズーンと重く感じることがあります。
また、一瞬だけ電気が走るような感覚が出ることもあります。
鍼灸では、このような鍼特有の感覚を
「響き」と呼びます。
当院では、これも身体に現れる反応の一つとして確認します。
ただし、「痛いほど効く」とは考えていません。
鍼を刺す以上、ときにはチクチクするような
不快な痛みが出る場合があります。
このような痛みを我慢していただく必要はありません。
「痛い」「不快だ」と感じた場合には、その場でお伝えください。
必要のない痛みであれば、すぐに鍼を抜きます。
こちらが気づいた場合にも、すぐに対応します。
お灸も、必要に応じて使用します
身体の状態によっては、お灸を使うこともあります。
基本的に使用するのは、
もぐさを直接皮膚の上で燃やすものではなく、
台座を介して温める台座灸です。
比較的穏やかな温熱刺激を用いる方法で、
皮膚に灸の痕を残すことを目的とした施術は基本的に行いません。
熱さの感じ方には個人差がありますので、
施術中も確認しながら行います。
鍼に電気は流しません
当院では、鍼に電気を流す施術は行っていません。
電気を使う鍼灸そのものを否定しているわけではありません。
当院が大切にしているのは、
必要な刺激を加えた後に、身体自身がどう反応するかを見ること
です。
一定の刺激を外から加え続けるのではなく、
必要な働きかけを行った後の身体自身の変化を見ながら施術します。
そのため、当院では電気を使用せず、
鍼や灸による刺激と、
それに対する身体の自然な反応を確認しながら施術を進めています。
施術中、我慢していただく必要はありません
気になることがあれば、
施術前・施術中・施術後を問わずお伝えください。
鍼の痛みだけではありません。
- 姿勢がつらい
- 寒い
- 暑い
- トイレに行きたい
- 今の鍼が何をしているのか知りたい
- 身体に変化を感じた
といったことも、遠慮なくお話しください。
基本的に予約を重ねず、
その方が施術を受けやすい環境をつくれるよう、
可能な範囲で調整しています。
施術を受ける時間そのものも、治療の一部だと考えているからです。
鍼灸施術のあとに起こることがある変化について
鍼灸施術では、まれに小さな出血や内出血、
刺した場所の違和感などが生じることがあります。
また、施術後に眠気やだるさを感じる場合もあります。
身体の変化をすべて「好転反応」と決めつけることはしていません。
施術後に気になる変化があれば、遠慮なくご相談ください。
このような鍼灸を探している方へ
当院は、
- 症状のある場所だけでなく、身体全体も見てほしい
- 毎回決まった治療ではなく、その日の身体を見てほしい
- たくさん鍼をすることや、強い刺激を受けること自体を目的にしたくない
- 施術前後の身体の変化を確認しながら進めてほしい
- 自分が感じていることも聞きながら治療してほしい
- 分からないことを質問しながら治療を受けたい
- 理論だけで決めつけず、実際の身体の反応を見てほしい
という方には、当院の鍼灸を理解していただきやすいと思います。
当院の考え方が、すべての方に合うとは限りません。
どのような鍼灸を行っているのかを知っていただいたうえで、
「ここなら、自分の身体を見てもらえそうだ」
と思っていただけるかどうかを大切にしています。
よくあるご質問
痛いところにも鍼をしますか?
必要であれば行います。
身体全体を見ることを大切にしていますが、
症状のある場所を軽視しているわけではありません。
局所と身体全体の両方を確認し、
その日の身体に必要な施術を考えます。
肩や腰がつらいのに、なぜ脈やお腹を見るのですか?
症状のある場所だけでは分からない身体の状態を確認するためです。
脈やお腹、背中、身体の動き、呼吸などを、
その方の身体全体を理解するための情報として用いています。
鍼は何本くらい使いますか?
あらかじめ決めていません。
一つ働きかけた後の身体の反応を確認しながら、
必要であれば追加します。
十分に変化していれば、それ以上加えないこともあります。
鍼はどのくらい深く刺しますか?
深さも一律ではありません。
施術する場所、身体の状態、その時に必要な刺激によって変えます。
深く刺すこと自体を目的にはしていません。
毎回同じ場所に鍼をしますか?
必ずしも同じではありません。
前回の施術結果は参考にしますが、
今日の身体を改めて確認してから施術を考えます。
施術の途中で何度も脈や身体を確認するのはなぜですか?
一つの施術によって、身体がどのように変わったのかを見るためです。
その変化から、次の施術が必要なのか、
方法を変えるのか、もう十分なのかを判断します。
鍼は痛いですか?
鍼特有の「響き」と呼ばれる、
ズーンと重い感覚などが出ることがあります。
一方、チクチクするような不快な痛みが出た場合には、
我慢する必要はありません。
お伝えいただければ、その場ですぐに対応します。
鍼を刺したまま置くのはなぜですか?
必要な働きかけをした後に、
身体自身がどう反応していくのかを待つためです。
当院では、この時間も施術の一部と考えています。
うつ伏せになれなくても施術できますか?
できます。
症状や身体の状態に応じて、
横向きや座った状態など、
無理のない姿勢で施術します。
強い刺激の方が効くのですか?
刺激の強さそのものを効果の基準にはしていません。
基本的には比較的穏やかな刺激から始めますが、
必要な刺激量は身体によって異なります。
その時の身体を見ながら判断します。
その場で症状が変わらなければ、施術は効いていないのでしょうか?
その場の症状変化は、大切な判断材料の一つです。
ただ、それだけでは判断しません。
身体の動き、呼吸、脈、緊張、
患者さん自身の感覚なども確認します。
また、想定した反応が得られていなければ、
最初の見立てや施術方法自体を考え直します。
施術中に質問してもいいですか?
もちろんです。
施術前・施術中・施術後、いつでも構いません。
分からないことや気になることがあれば、
その都度お尋ねください。
身体を見て、働きかけ、また身体を見る
当院では、知識や理論、経験を大切にしています。
しかし、それらを目の前の身体より優先することはしません。
まず、身体を見る。
今必要だと考えた働きかけをする。
身体が反応する時間を待つ。
そして、もう一度身体を見る。
十分なら、それ以上加えない。
必要なら、もう一つ働きかける。
想定と違えば、こちらの考えを変える。
身体を見て、働きかけ、また身体を見る。
この繰り返しを丁寧に行うことが、
茨木ばんば鍼灸治療院の鍼灸です。
患者さんとの治療の進め方、
通院についての考え方、
卒業を前提とした治療などについては、
当院が大切にしていること・治療方針
で詳しくご案内しています。


