馬場乾竹(ばんば けんちく)
茨木ばんば鍼灸治療院 院長・開設者
はり師・きゅう師
1972年生まれ。2004年に森ノ宮医療学園専門学校を卒業し、同年、はり師・きゅう師免許を取得しました。
2006年に茨木で「馬場聖鍼堂」を開設し、2018年に「茨木ばんば鍼灸治療院」へ名称を変更。2026年で開業20年を迎えました。
当院では現在も、院長である私が、最初のお話から身体の確認、施術、施術後の説明まで、すべて一人で担当しています。
長く臨床を続けるほど強くなったのは、過去の経験や、自分が正しいと思う答えを、そのまま目の前の患者さんへ当てはめてはいけないという思いです。
患者さんから信頼していただくことと、私の判断がその身体に合っていることも、同じではありません。
まず患者さんの話を受け取り、実際の身体を診る。
施術をしたあとの変化を確かめ、自分の考えが合っていなければ、もう一度考え直す。
私は、その繰り返しを大切にしている鍼灸師です。
カルテだけではなく、目の前の人を診る
カルテには、症状の経過や検査結果、これまで受けてきた治療など、身体を考えるための大切な情報があります。
しかし、カルテに書かれていることばかりを追い、目の前にいる患者さんへの興味を失ってしまえば、その人を診ていることにはならないと考えています。
そのため、患者さんのお話を聴くときには、すぐに私の判断を差し込まないようにしています。
どこが痛むのか、いつから続いているのかという情報だけでなく、その不調によって何に困っているのか、何を不安に感じているのか、本当はどうなりたいのか。
まずは、患者さんが話そうとしていることへ耳を傾けます。
うまく説明しようとしなくても構いません。何から話せばよいか分からない場合も、話せるところからお聞かせください。
ただし、患者さんのお話だけで身体の状態や施術内容を決めるわけでもありません。
お話から分かることと、実際の身体から分かること。その両方を確かめたうえで、鍼灸師として考えていることをお伝えします。
信頼していただくことに、甘えないために
臨床を始めたばかりの頃、肩の痛みで来院された患者さんがいました。
まだ経験の浅かった私を、とても信頼し、長く通ってくださった方です。
私も、見立てを変え、施術する場所や方法を変え、そのとき考えられることを一つずつ試しました。しかし、当時の私の技量では、どれも十分な改善につなげることができませんでした。
この経験は、今も私の中に残っています。
患者さんが信頼して通ってくださることと、私の治療がその人の身体に合っていることは同じではありません。
信頼していただいているから、このまま続ければよい。長く通ってくださっているから、自分の治療は間違っていない。
そのように考えてしまえば、目の前の身体に起きていることを見失います。
だから私は、施術を行ったという事実だけで終わらせず、施術前後の変化を確認します。
変化が乏しければ、自分の見立てや施術が適切だったのかというところから考え直し、必要であれば、そのことも患者さんへ率直にお伝えします。
あれから長い時間がたちました。
その間、痛む場所だけでなく身体全体の状態を診ること、一つ働きかけるごとに身体の反応を確かめること、思うような変化がなければ最初の見立てに固執せず、別の可能性を考えることを積み重ねてきました。
今の私には、当時にはなかった身体の見方と、施術の選択肢があります。
もちろん、現在のその方を必ず改善できるとは、身体を診る前から言えません。
それでも、今の自分で、もう一度その方の身体を診せていただきたい。今なら何を見つけ、何ができるのかを、あらためて探したい。
今でも、もう一度来院していただきたいと思っています。
完全な改善を目指しながら、分からない未来を約束しない
私は、患者さんが困っていることの完全な改善を目標に施術します。
しかし、完全な改善を目指すことと、「一回で必ず改善する」「何回で必ず治る」と約束することは別です。
例えば、20年以上続いてきた不調が一回の施術でなくなるのかと問われれば、実際には、そこまでの変化に至らなかった患者さんもいらっしゃいます。
一方で、10年以上続いていた症状が、一回の施術後に感じられなくなった方もいます。
これは、長く続いた症状であっても、誰もが一回で同じように変化するという意味ではありません。
症状が続いてきた期間だけで、その後の変化を決めることはできないということです。
一回で大きく変化することもあれば、改善までに時間を要することもあります。
身体の未来を、治療前にすべて決めることはできません。
だからこそ、一回の施術の中でも、その働きかけによって身体に何らかの反応が現れたのかを確認します。
一度で完全な改善に至らなかったとしても、何が変わり、何が変わらなかったのかを診る。その反応をもとに、今の見立てを続けるのか、別の可能性を考えるのかを判断します。
思うような反応が現れていないのに、最初に決めた治療をそのまま繰り返すことはしません。
できるだけよい結果を目指すことと、まだ分からないことを分かったように言わないこと。
その両方を守ることが、患者さんに対する誠実さだと考えています。
患者さんと私の価値観は、同じとは限りません
若い頃と現在で最も変わったのは、患者さんと私の価値観は違うということを、常に念頭に置くようになったことです。
同じ症状であっても、どこまで改善したいのか、どのような治療を受けたいのか、治療へ使える時間や費用はどの程度なのかは、一人ひとり違います。
私がよいと考えることが、そのまま患者さんにとっての最善とは限りません。
そのため、自分ならどうするかだけでなく、
「この方は、どうしたいのだろう」
「私の説明を、どのように受け取っているのだろう」
ということを確認します。
一方で、患者さんが希望されたことを、そのまま何でも行うわけでもありません。
身体を診たうえで、別の施術が必要だと考える場合や、ご希望の施術を行わない方がよいと判断する場合には、その理由をお伝えします。
患者さんの希望だけに治療を委ねるのでもなく、治療者の考えだけへ患者さんを従わせるのでもない。
価値観の違いがあることを前提として、お互いに考えていることを確かめながら、今できる治療を探します。
自分の判断にも、目を向ける
臨床では、知識や技術だけでなく、治療する側の状態も判断に影響します。
慣れや忙しさ、焦りによって、
「前回と同じでよいだろう」
「ここまでで十分だろう」
と、目の前の身体を確かめる前から答えを決めていないか。
私は、患者さんの身体だけでなく、治療中の自分が何を考えているのかにも目を向けます。
都合のよい答えを選ぼうとしていないか。目の前の身体を診る前に、分かったつもりになっていないか。
もし、そのような自分の考えに気づいたなら、
「そうじゃないだろう」
と、自分に言うことができます。
一度だけ丁寧に治療することは、それほど難しくありません。
難しいのは、忙しい日も、疲れている日も、判断に迷う日も、丁寧であり続けることです。
自分の中で起きていることから目をそらさないことは、丁寧な臨床を続けるために、私が守っていることの一つです。
家族として治療を探し、自分自身も患者になって
私が鍼灸師を志した背景には、難病になった娘のために、家族として治療を探した経験があります。
当時の私はまだ鍼灸師ではなく、テニスコーチをしていました。
複数の治療を受ける中で、評価されている治療であっても、治療法や施術者によって娘の身体に現れる変化が違うことを経験しました。
誰かに合った治療が、別の人にも同じように合うとは限らない。治療法だけでなく、患者さんの身体や施術者との相性も関わる。
その経験が、鍼灸師を目指す原点の一つになりました。
その後、私自身も指定難病を経験し、入院と治療を受けました。
治療家ではなく、一人の患者として、検査結果を待ち、自分の身体を他者へ委ね、説明を受けて治療を選ぶ側になりました。
ただし、自分が患者になったからといって、他の患者さんの気持ちが分かるようになったとは考えていません。
病気も、生活も、不安に思うことも、一人ひとり違います。
だからこそ、「自分も患者だったから分かる」と決めつけるのではなく、相手が何をどう感じているのかを、以前よりきちんと確認するようになりました。
茨木で、必要なときに戻れる場所を続ける
私は長く茨木で暮らし、2006年からこの地で治療院を続けています。
開業当初に通ってくださっていた患者さんの中に、私が忙しくなった時期に、一度来院されなくなった方がいました。
それから十数年がたち、その方が80歳を超えて、再び治療院を訪ねてくださいました。
長い年月がたっても私と治療院のことを覚えていてくださり、身体のことで困ったときに、もう一度相談してくださったことが、とても嬉しく感じられました。
同じ場所で、同じ電話番号で、治療院を続けてきてよかったと思った出来事です。
この経験は、当院を「かかりつけ鍼灸院」として続けていきたいと考えるようになったきっかけの一つです。
いつまでも通い続けてもらうのではなく、必要な治療が終われば、一度自分の生活へ戻っていただく。
そして、何年かたって再び身体のことで困ったときに、
「以前診てもらった、あの治療院へ相談してみよう」
と思い出していただける。
その人の人生の中で、身体について相談したいときに戻ってこられる「かかりつけ鍼灸院」を、これからも茨木で続けていきたいと考えています。
臨床とともに、教育と発信を続けています
治療院で患者さんを診ることと並行して、長年、鍼灸師や鍼灸学生への教育、セミナー、執筆、情報発信にも携わってきました。
教えるためには、自分が身体の何を診て、なぜその施術を選び、その後の何を確認しているのかを言葉にしなければなりません。
感覚的に行っている判断も、人へ伝えようとすれば、本当にその判断でよいのかを問い直すことになります。
教育や発信は、自分の臨床が完成したことを示すために行っているのではありません。
他の治療家から返ってくる疑問にも向き合い、自分の判断をもう一度身体へ戻して確かめるための営みでもあります。
治療家になる前の私
鍼灸師になる前は、テニスコーチをしていました。
相手の動きを見ながら、どこで困っているのかを考える。その人に合う言葉や伝え方を探し、少しずつできることが増えていく過程に関わる。
人がもともと持っているものを引き出し、よりよい方向へ進むための手助けをすることに喜びを感じるのは、テニスコーチをしていた頃から変わっていないのかもしれません。
現在は指定難病の経験以降、テニスをすることはできていませんが、今もテニスは好きです。
テニスをされている患者さんから、身体の使い方やフォームについて相談されることもあります。
私の治療が合う方、合わない可能性がある方
治療院や施術者との相性は、経歴や文章だけで完全に判断できるものではありません。
ただ、治療に対する考え方から、ある程度判断していただくことはできます。
当院へ相談していただきやすい方
- 今受けている治療について、十分に話を聴いてもらえていないと感じている方
- 現在の治療で思うような変化がなく、別の見方からも身体を考えてみたい方
- 説明を聞きながら、施術前後の身体の変化を一緒に確かめたい方
- 施術者へすべてを任せるのでも、自分の希望だけを通すのでもなく、話し合いながら治療を進めたい方
- 病院での検査や治療と鍼灸を併用したい方
当院とは合わない可能性がある方
- 施術する場所、方法、本数などをあらかじめ完全に指定し、それ以外の提案を検討したくない方
- 身体を確認する前から、希望どおりの施術を行うことを求める方
- 「一回で必ず治る」「何回で必ず改善する」という保証を求める方
ご家族や周囲の方に勧められて来院されること自体は、問題ありません。
ご本人が「まず話を聞いてみたい」「施術を受けるかどうかは、説明を聞いてから考えたい」という段階でも構いません。
ただし、ご本人が施術を望んでいない場合に、周囲の方の希望だけで治療を進めることはできません。
まずご本人のお話を伺い、何に困っているのか、施術についてどのように考えているのかを確認します。そのうえで、ご本人が納得して施術を受ける意思を持てない場合には、無理に治療を進めません。
患者さんの希望は、最初にきちんと伺います。
ただし、ご希望の施術をそのまま行うことを約束する治療院ではありません。
患者さんのお話と実際の身体を確かめ、鍼灸師として必要だと考えることをご説明したうえで、そのときできる治療を一緒に考えます。
院長略歴
氏名
活動名:馬場乾竹(ばんば けんちく)
資格上の氏名:馬場智大
「馬場乾竹」は、鍼灸臨床、教育、執筆、情報発信で使用している活動名です。
所属・役職
茨木ばんば鍼灸治療院 院長・開設者
保有資格
- はり師
- きゅう師
学歴・資格取得
2004年3月
森ノ宮医療学園専門学校 卒業
2004年4月
はり師・きゅう師免許取得
治療院沿革
2006年2月
茨木市で「馬場聖鍼堂」を開設
2018年5月
「茨木ばんば鍼灸治療院」へ名称変更
2026年
開業20年
馬場乾竹について、さらに詳しく
初めて来院される方へ
ここまでお読みいただき、私の考え方や治療の進め方がご自身に合うかもしれないと感じられた方は、まず「初めての方へ」をご覧ください。
初回にどのようにお話を伺い、どのような流れで施術を行うのかをご案内しています。
ホームページを読んだだけで、治療院や施術者との相性をすべて判断する必要はありません。
実際に話をし、説明を聞き、施術を受けたうえで、ご自身に合うかどうかをお確かめください。


