鍼灸院を選ぶ前に、電話で一つだけ聞いてみてください。

鍼灸院を選ぶ前に、電話で一つだけ聞いてみてください。

│執筆:馬場 乾竹

鍼灸院を探しているけれど、

「ここに行って大丈夫だろうか」
「何回も通わないといけないと言われないだろうか」
「自分に合わなかったら断れるだろうか」

そんな不安がある方もいると思います。

もしそうであれば、予約をする前に、一度電話をしてみてください。

そして、あなたが一番不安に思っていることを、一つだけ聞いてみてください。

たとえば、

「一度施術を受けてみて、その上で通うかどうかを決めてもいいですか?」

と聞いてみるのも一つです。

ただし、この質問に対してどのような答えが返ってくるかだけで、「良い鍼灸院」「悪い鍼灸院」を決められるとは私は思っていません。

そもそも、何を安心と感じ、何を不安と感じるかは人によって違います。

大切なのは、

あなた自身が、その治療院へ行く前に確認しておきたいことを確認し、そのうえで自分で選べることです。

ここでいう「安全」は、医学的な安全性だけの話ではありません

以前、このことを考えたとき、私は「自分にとって安全かどうか」という言葉を使いました。

ただ、この「安全」は少し説明が必要です。

電話一本で、その治療院の施術が医学的に安全かどうかを判断できる、という意味ではありません。

ここで私が言いたいのは、

自分が不安に思っていることを事前に確認できて、納得したうえで「行く・行かない」を自分で選べるかどうか。

という意味での安心です。

料金が気になる人もいます。

鍼が怖い人もいます。

何回くらい通うのかが気になる人もいます。

一度行ったら断りにくくなるのでは、と不安に思う人もいます。

何を確認したいかは、人によって違って当然です。

治療院へ行くということは、相手の場所へ入るということ

電話をしている間は、まだ自分の側にいます。

しかし実際に治療院へ行けば、その治療院という場所に入り、そこで説明を受け、施術者と向き合うことになります。

知らない場所へ行くこと自体が不安な人もいます。

鍼が怖い人もいます。

料金が気になる人もいます。

回数券や長期的な通院を勧められないか心配な人もいます。

自分の症状をうまく説明できるか不安な人もいます。

そして、

「一度行ってしまったら、断りにくい」

と感じる人もいるでしょう。

どれが正しい不安で、どれが考えすぎだという話ではありません。

その人が不安に思っているのであれば、その人にとっては確認しておきたい大切なことです。

だから、実際に治療院へ行く前に聞いてみればよいのです。

電話は、その治療院との最初の接点になる

電話で聞く内容だけが大切なのではありません。

実際に話してみて、自分がどう感じたか。

それも、一つの判断材料になります。

きちんと話を聞いてもらえた。

質問に答えてもらえた。

急かされなかった。

なんとなく話しやすかった。

あるいは逆に、

少し違和感があった。

質問しにくかった。

うまく説明できないけれど、何となく自分には合わない気がした。

それも含めて、自分で判断してよいと思います。

ただし、電話で受けた第一印象だけで、その治療院の技術や治療の質まで分かるわけではありません。

ここで見ているのは、

「自分は、この場所へ一度行ってみようと思えるか」

です。

同じ応対を受けても、安心する人もいれば、合わないと感じる人もいます。

誰かが決めた正解ではなく、

自分はどう感じたか。

そこを一つの材料にしてよいと思います。

「一度受けてから決めたい」は、わがままではありません

たとえば、

「一度施術を受けてみて、その上で通うかどうか決めてもいいですか?」

と聞いたとします。

施術者側から見れば、症状や身体の状態によっては、一度の施術だけでは十分に判断できないこともあります。

何回か施術を重ねた方がよいと考えることもあるでしょう。

それは、専門家としての判断としてあってよいと思います。

しかし、それと、

患者さんが、その治療院へ通うかどうかを自分で決めること

は別の話です。

患者さんが一度受けて判断するのは、治療効果だけとは限りません。

説明は納得できたか。

自分の話を聞いてもらえたか。

施術を受けてどう感じたか。

ここなら、もう少し任せてみようと思えたか。

自分が不安に感じていたことは、実際にはどうだったか。

何を重視するかも、人によって違います。

ですから、一度受けて、

「もう少し続けてみよう」

と思う人もいれば、

「今回はここではないかな」

と思う人がいてもよい。

私はそう考えています。

そもそも、鍼灸を受けること自体にハードルがあります

初めて鍼灸を受ける方にとっては、

「鍼って痛いのかな」
「何をされるのだろう」
「自分の症状で行っていいのだろうか」
「一度行ったら、何回も通うことになるのだろうか」

など、経験したことがないからこその不安があります。

そう考えると私は、もっと、

「まず一度受けて、そのうえで考える」

という入口があってもよいのではないかと思っています。

初めて受けるものなのに、受ける前から自分に合うかどうかをすべて決めることは難しいものです。

ただでさえ一歩を踏み出すことに不安がある人へ、治療院側がさらに入口を狭くする必要はないのではないか。

私は、そう考えることがあります。

もちろん、治療院にはそれぞれの治療方針や料金体系があります。

どの仕組みが正しい、間違っているという話ではありません。

大切なのは、

その仕組みが自分に合うかどうかを、患者さん自身が選べることです。

施術者から提案することと、患者さんが選ぶことは両立します

もちろん、施術者が何も提案しないということではありません。

実際に身体を診た結果、

「今の状態なら、このくらいの頻度で受けた方がよいと思います」

と説明することはあります。

専門家として必要だと思うことを伝えるのは、施術者の仕事の一つです。

ただし、

提案することと、決定することは同じではありません。

施術者は提案する。

患者さんは、その説明を聞いたうえで選ぶ。

私は、この関係でよいと思っています。

もし来院前に、その治療院の通院方針や料金体系について不安があるのであれば、事前に聞いてみても構いません。

そして、

その仕組みが自分に合うかどうかを決めるのは、自分自身です。

「無料だから安心」とも、「無料だから心配」とも限りません

当院では、初回を無料体験としています。

ただし私は、

「無料だから安心です」

と言いたいわけではありません。

むしろ、

「無料だからこそ何かあるのではないか」
「あとで高額な契約を勧められるのではないか」

と警戒する方がいても不思議ではないと思っています。

だから当院では、なぜ初回無料体験を設けているのか、どのような流れで行うのかを、別のページでも説明しています。

内容を確認したうえで、

「それなら一度受けてみよう」

と思う方もいれば、

「やはり自分には合わない」

と思う方もいるでしょう。

それで構いません。

大切なのは、無料か有料かだけではありません。

必要な情報を受け取ったうえで、自分で判断できることです。

誰かが決めた「良い鍼灸院」ではなく、自分で選べる鍼灸院を

インターネットには、

「良い鍼灸院の見分け方」

という情報がたくさんあります。

資格を見る。

料金を見る。

口コミを見る。

ホームページを見る。

もちろん、それらも参考になります。

ただ、最終的にそこへ行くのはあなたです。

施術を受けるのもあなたです。

そして、通うかどうかを決めるのもあなたです。

だから、もし何か一つでも気になることがあるなら、予約する前に聞いてみてください。

決まった質問でなくても構いません。

あなたが一番不安に思っていることを、一つ。

「一度受けてから、通うかどうか決めてもいいですか?」

でもいい。

「通院については、どのように決めますか?」

でもいい。

「鍼が怖いのですが、それでも大丈夫ですか?」

でもいい。

「うまく症状を説明できないのですが、それでも相談できますか?」

でもいい。

その答えを聞いて。

相手の雰囲気を感じて。

そして、

自分はここへ行ってみようと思えるか。

まずは、そこからでよいと思います。

鍼灸院を選ぶときに、一番大切なのは、

「どこが一番良い院なのか」

という答えを誰かに決めてもらうことではありません。

自分が納得して、自分で選べること。

そのための一つの方法として、鍼灸院へ行く前に一度電話をしてみる。

そして、

あなた自身が、行く前に一番確認しておきたいことを、一つだけ聞いてみてください。


この記事の執筆者:
馬場 乾竹

大阪府茨木市で鍼灸臨床を続け、2026年で開業20年。伝統鍼灸を基盤に、患者さん一人ひとりの身体の変化を確認しながら、その都度治療判断を更新することを大切にしています。 治療への依存をつくるのではなく、最終的には患者さん自身の身体と生活へ戻っていただくことを治療の目標としています。

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